PCクラブログ

2006年からの日記です。備忘録です。生活に必要な知識、それを実現しょうと試み続けているのが本ブログです。未熟者ですがよろしくお願いします。

地域の活性化に祭りを。大台町千客万来夏祭りに見る。 

  大台夏祭りポスター
大台夏祭りポスター

 

大台町千客万来夏祭りにみる地域の活性化

お祭りやイベントについて掘り下げることで、社会と文化の問題が集約的に表れてくるはずです。それはまた自分たちの町にとってもおろそかにできないテーマです。

 

 

目次
1.この祭りはどういう意味を持つのでしょうか?
2.どういう役割を果たしてきたのでしょうか?
3.経済的浮揚効果や基盤整備に役立っているのでしょうか?


まず、この祭りの出発点に立ち帰って根源的な所から問い直してみたいと思います。その考えなしに表面的なにぎやかさにもかかわらず本当に人間らしい祭り・イベントには成りえないのではないかと思われたからです。


1.この祭りはどういう意味をもつのか?

大台町の中心地は三瀬谷。名前の起こりは大谷川と宮川が合流する地で南・西・北の三方は断崖であることから、古くから伊勢・近江、紀州を結ぶ要塞の地でした。

永禄年間(1558年~1570年)の有力者、三瀬左京によって砦が築かれています。北畠の家臣、三瀬氏歴代の居城です。

かって林業が盛んで、三瀬谷には宮川の上流、大杉谷から筏で材木が集積する一大木材市場で栄え、近江から商人が集まりました。
大台夏祭りは毎年8月中旬に行われ今回で11回目ということです。10年ほど前、隣の宮川村と合併しそれぞれ祭りがなくなったのですね。


商工会が未来の子どもたちのためと、多くの人に来てもらいたい願いを込め、「千客万来大台夏祭り」としました。祭りの運営は商工会が担い、行政はバックアップ役です。

祭りのメインは総踊りです。古くから伝わる盆踊りです。花火は近隣ではここだけということから数千人が見物に訪れます。会場の役場駐車場には露店が数十店ならびます。

JR三瀬谷駅       

大台三瀬谷駅

 

JR三瀬谷駅
三重県多気大台町佐原にあり、JR東海紀勢本線大台町中心駅で、日本で最も雨が降る大台ケ原の大杉口などの奥伊勢観光の拠点駅ともなっています。

開業は1925年(大正15年)近隣の川添から開業してここは終着駅でした。その後、東は松阪・亀山まで延長され、当時は1日千人以上の乗降客があったと思われます。

松阪から国道42号が尾鷲・熊野、紀州まで伸びたこともあって今では200人を切る無人駅です。当時、木材の大集積地でもありましたので駅周辺には近江商人が軒を並べました。

 


三瀬谷駅前・大黒屋

三瀬谷駅前・大黒屋

 

JR三瀬谷駅

今日は夏祭りというのに駅前商店街は人影がなく提灯飾りが寂しく揺れているだけでした。交通の便がよくなるとかえって都市へ人口が流出してゆくのですね。皮肉なものです。歩いて神社に向う途中、人影のない町の通りに、ずっと提灯がともっているのが妙に寂しかったりします。

 

三瀬谷駅前商店街

三瀬谷駅前商店街

 

三瀬谷駅

神社の周りには商店街があって、そこではいろんなものが売られていました。飴玉とかカレーパンとか、そんなに高くないものばかり。ショッピングモールにはない味でした。店のおばちゃんおじちゃんと話すのも面白かった。

しわくちゃの手で5円玉や10円玉をやりとりする手のぬくもりに触れたり。今の男の子女の子もそこが面白いんだと思うけど、やたら「お金をじかに扱うのは汚い」という風潮が大人の世界にはびこってしまっているのは寂しいですね。

 

三瀬谷神社

 三瀬谷神社

 

三瀬谷神社

町の中心部からほど近い山中の、道路際に苔むした石と桝があります。
境内に入ると空気が違います。落ち着きますよね。交通量の多い国道42号線からでも、ぱっと神社に入ったらもう別世界。

神社には安心感があるんですよね。普段とは違う時間が流れていて居心地がいい。清々しい清浄な場所です。伊勢神宮の厳粛さとはまた違う、人に寄り添う身近さかな。

20代の頃は自分の能力を高めていけば、いつかいい人と出会えると思える。夢や希望がある、余裕がある。でも30代になると、どうにもならないことに気づき焦る。


ひょとしたらこのまま年だけ喰って結婚できないのではないか?という不安が夢の中まででてくるんですね。良縁を祈願するために「まず縁結び神社」です。

かって、三瀬谷神社の東の道は江州に通じ近江商人が行き来していたのです。

 


千客万来夏祭り子ども神輿

千客万来夏祭り子ども神輿

 


スーパーマリオ山車

 スーパーマリオ山車

 

 
昭和のレトロ「三瀬谷木材事務所」

三瀬谷木材旧社屋


三瀬谷木材旧社屋

往時の隆盛を物語る建物です。

 

奥伊勢大台道の駅

奥伊勢大台道の駅


地酒売り場

奥伊勢大台地酒売り場

 

ドクダミ

奥伊勢大台ドクダミ茶

 

広大な三瀬谷木材市場跡には役場・消防・道の駅、マックスバリュー等が進出しました。役場の敷地が夏祭り会場です。


大台夏祭り竹笹飾り

千客万来夏祭り笹飾り

 


夕立の大台夏祭り会場

千客万来夏祭り会場

 

夕立の大台夏祭り会場
祭りと言えば「夜店」。その出店数から人出の多さを予感させます。

おもちゃのダイコクヤ

おもちゃのダイコク屋

景品が山となって飾られています。

 


射的

射的

 


コリントゲーム

コリントゲーム

 コリントゲーム?パチンコのようなゲームでした。

 

自分だけのおうちわづくり

自分だけのうちわづくり


おもちゃやさんのくじ引き・伊勢しぐれ煮

おもちゃやさんのくじ引き・伊勢時雨

 


亀山みそ焼きうどん・津餃子・広島焼

亀山うどん・津餃子


亀山うどん・津餃子

津餃子


ご当地グルメ。「津餃子」はもともと小学校の給食を作るとき「10個分を1個にした方が手間が省ける」からでした。それが逆にボリュームがあって子どもたちに喜ばれ、地元では名物としてすっかり定着しています。

 

 

「亀山味噌焼きうどん」は濃厚だれをかけて焼くので香ばしさが食欲をそそります。

 亀山みそ焼きうどん

 


生ビール・サーバー

生ビール・サーバー

ビールはやっぱり生ビールです。白と小麦色、その色合いを楽しむのも夏祭りですから透明コップで飲むべきです。センスがありますね。

 


フライドポテト

フライドポテト

 


かき氷

かき氷

 


なんでもや

なんでもや

 なんでもよりどりみどりですね。

 


スノーアイス・焼きそば

スノーアイス・焼きそば

何軒もある焼きそば店はどこも混雑。削り粉が掛かっているのが定番のようです。


ご当地ピザ

宮川名物・ご当地ピザ


宮川名物・ご当地ピザ

大台町宮川江馬のお店前にはイタリア国旗が掲げられています。有機無農薬の地元産野菜にハム・アンチョビなどが入る手作りです。


田舎にピザ?
このピザができたバックボーンやうんちくを知りたくなります。どうも東京から家族ぐるみ移住された方が始めたようです。隠れたご当地グルメとして知られてきました。

 

 

唐揚げ

牛ステーキ串・唐揚げ
牛ステーキ串・唐揚げ

唐揚げも何軒も出店しています。

 

 

電球ジュース・わたがし

電球ジュース・わたがし

「電球のジュース?」
何か得体のしれないものを売る夜店。こういうのが昔から夏祭りの魅力でした。

 

 

チョコバナナ

チョコバナナ

 

焼きそば、餃子、焼きうどん、たこ焼き、唐揚げ、かき氷、電球ジュース、ピザ、綿菓子、早くて安くてボリュームがあってうまい。これが夜店のいいところです。

 

ハンバーガー店」を見逃していたようです。ふっくらとしたパンを両手でつかみ、上と下から押しつぶしてかぶりつくとベーコンとマヨネーズの汁が口に広がる、あの至福の時間を忘れてしまうほどの露天メニューでした。

 

 

宮川清流太鼓

宮川清流太鼓

ドーンドーンドンドンという大きな和太鼓や笛・鉦の音を聞くと懐かしい気持ちになって安心の世界が広がります。
日頃の練習の成果でしょうか、上手です。曲打ちも見ごたえがありました。


清流轟太鼓

宮川清流太鼓

 


津軽三味線ライブ

津軽三味線ライブ

独りで三味線とハーモニカを演奏し沖縄の歌。なかなかのものでした。

 

 

三瀬谷盆踊り

三瀬谷盆踊り

笛と太鼓を伴奏に地元の人がこぶしを入れて地声で見事に唄います。歌詞は歴史を折り込む即興詩で延々と続き、それに呼応して踊り手は櫓の周りを巡回しながら踊り続けます。

なんとなく江州音頭に似ています。三瀬谷のほか、下三瀬、上三瀬、日進、川添などの旧町ごとに盆踊りがあり、中には戦国時代から続いているのもあります。

振付はかなりの動作を要します。この地に生きる人々がこの地の生活や習慣などの風俗の中で営々と受け継いできた芸能です。

いい踊りなのに踊り手が少ない。踊りたいけどもう体が動かないのかもしれませんが、周りにはお盆休みで帰省中の若い見物客が溢れています。

男女の出会いの場として誰でも飛び入りで参加できるよう、振付を youtube 等でアップした方がいいのではないでしょうか。習い覚えれば「自分たちの地域にこんなに素敵な芸能が伝承されている」と「発見」するでしょう。

 

 

フィナーレを飾る「花火」はあいにくの天気で、赤や黄色の光がほのかに映るだけでした。


2.どういう役割を果たしてきたか

三重県の山間部ながら、伊勢と紀州の交通の要所、林業やお茶など伝統産業も頑張っています。過疎は避けられませんが周辺の部落からこれだけの人が集まるのです。

祭りを通じで感じたのは、「自分たちの祭り」という雰囲気が伝わってくるということです。キャッチフレーズが「住民みんなが主人公」というのもむべなるかな。

特筆すべきは「来賓席」がなかったこと。お偉いさんが選挙目当てやに挨拶したり、町役人が舞台にしゃしゃりでくるようでは興ざめです。

商工会の青年部が立ち上げた祭りは、時間の経過とともに「文化に触れる機会」「地域住民間の交流の機会」へと変化してきたように見えます。

盆踊り以外に地域が大切にしている伝統芸能を掘り起こして、人と人とが自然な形でつながる祭りに発展させてほしいものです。

 

3.経済的浮揚効果や基盤整備に役立っている

ふるさとを元気にするためには 、地域住民の活力と共に地域が開かれ、近隣の町村と結びつき、外との結びつきと内なる結びつき、両者の相互作用によって活力が生まれます。

企業にも地域があり、そこで提供される様々なサービスとそこに生活する人たちによって支えられ、継続できます。商店や企業の社会的貢献とまではいわなくても、地元の祭りに会社や商店が頼まれて広告を出すのでしょう。

実質は祭りの費用への寄付ですが、そうした関係は地域にとって貴重です。企業はいつも社会の中にあるものであり、地域と共存しているのです。

内なる結びつきは現在にとどまらず未来に向かって世代を超えて行きます。このようなつながりの広がりが地域に広がるとき、県全体が元気になる。そこで初めて都市と地域の相互関係と循環の仕組みも機能するのではないでしょうか。

 

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