♪ 古和の浅間さんはぁ ♫ 大和の宇陀ぁでー No4
♫ えーいましゃ(今頃) どちらぁ向いてぇ ごぉざぁーるやぁら〜
♪ 今年ゃ豊年
♫ 穂に穂がぁ咲いてぇ〜
今となっては昔の話なのだが・・・・・。
古和には銀行があった。
それだけ金の出入りがあったということで
ことに定置網でのブリの大漁は、今でも語り草になっていて
かの太洋漁業もあったぐらいだから、仲買人も多かった。
この定置網で働く人は土佐から富山まで、近隣から集まった。
人が集まれば、それに付随する商人も多く来る。
その中に、宇陀(奈良県)から来た一人の男がいた。
その男は、古和の浅間山のご本尊を盗んだ。
そして宇陀に帰り、自宅の神棚に飾っておいた。
ところが朝になると向きが変わっていたという。
自分の置き方が悪かったのかと思って
向きを正面に変えるのだが
翌朝になると後ろ向きになっていたという。
古和の住民が、この「唄」に込めた思いは純朴である。
その純朴さにつけこんだかどうか知らないが
その「本尊」が、見も知らぬ土地で、盗人の欲求の為に飾られたところで
「それが何になる?」
という、素朴な問いと共に寂しさを発している「歌詞」である。
道中行列が文蔵屋の前を通る。
梵天を掲げているのは、この店の倅である。