2009-01-01から1年間の記事一覧
温かい日射しのある日、近所のJさんがタバコを買いに来る。タスポカード導入してからすぐ申請したのだが、「届いてない」と言って、以来、手売りのままだ。多分、ゴミと一緒に棄ててしもたに違いない。それで、面倒くさいのだが、仕方なく手売りのままだ。…
古和の栃ノ木前の堤防には、いつも誰か釣り客がいる。 通り過ぎようとしたが、この日は急ぐ用もなかったので、釣りの様子を見てみたい気になった。 傍らには、明らかに町外からと思われる車が止まっている。 堤防の上には、潮焼けした人が腰かけていた。 近…
魚は普通、 頭を左、腹を手前にしてまな板に乗せて鱗をとるんやけどな ソマの場合は頭を右、腹を手前にしてまな板に乗せるんさ。 左手でエラを開いてな、右手の包丁の先を下からいれて、 まず、エラを引き出すんさ。 左手で頭を押さえてな、向こう側へ引いて…
初めにゆーとくけど、そま鰹は「鰹=真鰹」より、ちょっと落ちるな。味がね。 そやけどの、1日、2日おいた真鰹より、釣ってきたばっかの「そま鰹」のほーが旨いにゃぁ。 資源が枯渇する今日においては、やっぱりとれたてに勝るもんはないよって。 鰹の料理…
「ソマ、さっき釣ってきたんさ。もってくき?」 近所のMさんが声を掛けてくれた。 「刺身にすーとうまいんなぁ」 見るとバケツに1匹。 これが、ソマ。 毎年11月ごろになると、古和では尾びれを手に歩く漁師を見かける。 子鰹にしては大きい。鰹にしては…
古和の祇園さん、最後を飾る仕掛け花火。 ユーチューブ http://www.youtube.com/watch?v=l_vV9EP3W9o
古和の漁業組合広場で御舟が最後の「練り」をすると、難関が待ち受けている。 御舟を2隻合体の船に乗せるのである。 これが最も難しく、かつ危険なのだ。 私の時(数年前)は、こうだった。 御舟の船首から船に乗せるのだが、この時期、潮位が低いのである…
ユーチューブでどうぞ。 http://www.youtube.com/watch?v=x5QZj1qvQo8 祇園囃子に乗って夕闇の中を御船が動き出した。 青暗い夜空を笹竹が覆い提灯が揺れる。 拍手と歓声が後を追う。 波麗路(ボレロ)の前まで漕ぎだした時、 「笛は元気ないどー!」 面舵(…
youTube で実際の動きを見んかな? http://www.youtube.com/watch?v=5gZHeDIhaiI 夕闇せまるころ、古和浦山之内旅館の前には大勢の人々が集まってくる。 同級生のK君が笑いながら近寄ってきて言った。 「今でも若いモンには負けへん」 確かに地方(陸で力仕…
日が落ちる頃、浜の方から「テケテケテンテン」という音が風に乗ってかすかに聞こえてくる。 今100メートル先の古和浦漁業組合あたりで叩いているようだ。2回目に聞こえてくるのは、50メートルくらい先だ。表に出ると叩いている姿も見える。 今年は4人の…
翌7月11日(土) 古和の祇園さん当日である。 前日から町内約500戸の家々では、祭り提灯をぶら下げる。 お昼を過ぎると、聞こえてくるのが「さぁ~っさい」という大勢の掛声。 「こども御船」が利七屋の前を通って古和浦の浜へ曳かれて行く。 3時には…
古和で大切に育ててきた楽器、それが横笛であり、小太鼓、大太鼓、鉦である。 囃し方が吹く横笛はもちろん竹製である。 「これは、職人さんが造ってくれたんや」 一人の若い衆が、装飾を施した豪華な横笛を見せながら笑顔で言った。 長いあいだ使われている…
公民館の一番奥の部屋に入った。横笛奏者が5・6人、鉦1人、小太鼓、大太鼓各1人。 祇園祭の横笛は、出だしは息の長い節から入る。ここは「突っ込み」と呼ばれている。 そこの終わりには、小太鼓と大太鼓の連打がある。 そのあとが「祇園囃子」と呼ばれて…
毎年7月の第二土曜日が古和の祗園祭である。今までは、もっぱら御船(みふね)の担ぎ手だったが、今回はその御船の中で横笛を吹く人たちの練習を見せてもらうことにした。(と言うのも、いつかは御船に乗って笛を吹きたいからなのだが・・・)昨年、祇園の寄…
不動滝は初夏の光をたたえながらしぶきをあげている。 大杉の間を通り抜けるとクロさんたちが橋にさしかかっていた。渡り終わるのを見送ってから私も足を返した。橋の真ん中に立つと滝の水量に圧倒される。二股に分かれた流れがすさまじい勢いで合流し轟音に…
三の段を過ぎると、再び杉林の急激な斜面をかき分けながら降りる。私たちは、天に伸びている杉の巨木の根や枯れ木に足をとられ落ち葉に滑りながら、二の段、一の段を過ぎた。 杉林の間から目に入ったのは、山の向こうに傾きかけている夕日である。 もう足や…
さすがにそれぞれの顔に疲労の色が見えていた。しばらく休憩することになった。思い思いに腰掛けながら、お茶を飲んだりした。野田さんが、例のかりんとうの袋を隣の人に手渡して、言った。 「みんな空けたって」 静寂な空気と光のなかで、鳥の鳴き声が響き…
南伊勢町古和浦 有地山 5月10日 午後3:00 尾根の西側側を丹念に見ながら歩いた。樫の木などの雑木林が生い茂っている。東側は杉小立で、その合間に、光が差し込み、杉の枯れ枝を照らしていた。足取りが重くなってきた。北峰から15分しか経っていな…
再び腰を上げた。いよいよこの北峰から南西方向の有地山本峰を目指す。 私は事務長のあとについて、尾根道を歩いていた。 あたりは杉並木でいつの間にか暗くなっていたが、木立の隙間から射す日の光に、 人の影が浮かび上がっている。地面には湿っぽい空気が…
(古和浦 有地山北峰到着 2時40分) 今来た道を引き返すなかで膝に痛みを覚えた。それは筋肉痛にあった。 心なしか、足取りが少し重い。鉄アレイの錘を下げられたようだ。 枯れ葉が積み重なった道は、一歩ごとに足もとが沈むような感じがした。 暗い森を…
「どうもこの道やないみたい」 ずっと50m位先を行っていたトモさんと野田さんなのだが、道を間違えたらしい。 トモさんが正確な道を探しに藪の中に消えていった。 野田さんは? と思っていたら、中野さんが空を見上げて叫んだ。 「野田さんとこ猿も飼うて…
樹木を抜けると、突然、はるか向こうに鉄塔が現れた。NTT無線中継所である。 時刻は1時45分をまわろうとしている。あそこからすでに3時間過ぎているのだ。もう2度と見ることもないだろうと思うと懐かしささえ覚えてくる。 私は、ぬるくなったペットボト…
(南伊勢町古和浦 12:50) 大ダニから猪の話題に移った。 「古和の猪や鹿は美味いんやてなぁ」 「そらそうさ、雑木林の実をたべとるでなぁ」 古和浦の山はほとんど公民館のもので、その空き地を利用して個人が杉の木を植えてはいるが、それ以外ほとんどが雑木…
(南伊勢町古和浦 12:30) 「木の上から、ポタッとダニが落ちてきた」とトモさんが言った。 「これは大きいなぁ」と誰かが言った。 一瞬、みんなの目が緊張に包まれたようだった。 野田さんが立ち上がって右足の膝のあたりを指で摘まんでいた。 「こいつは、…
(南伊勢町古和浦 12:10) 雑木林の中はいろいろな木々が濃い影を交わし合い、光の影が入り乱れている。ミツバツツジの花がさき、姿はみえないが、しきりに鶯がさえずっている。 木の芽が吹く深い木立に、明るい日の光がさしこむ小高い丘に来た。先頭の人たち…
(南伊勢町古和浦 11:20) この周りは伐採されていてポッカリ穴が空いたようだ。5月の日射しが頭から注いでいる。ここで小休止する。古和浦の方角に眼をやったが、木立で見えない。目に入るのは有地山まで続く雑木林の尾根と大空である。小さな看板が見えた…
(南伊勢町古和浦 10:40) 「危ない!」皆一瞬思った。 樹木の中に野田さんの身体が仰向けに飛んだ。背中から地面に落ちた。「ドサッ」と音がした。 が、反射的に背中を丸めて頭を上げていた。背負っていたリュックがクッションの役目をした。 「大丈夫ですか…
(南伊勢町古和浦 10:30) 古和峠からかれこれ30分歩いただろうか。 鉄塔がどんどん大きくなってきた。 「こんなに大きいものはこの辺にはない」と先生は見上げながら感心したように呟いた。 目の前がパァーと明るくなった。頂上だ。 鉄塔は造作も広さも予…
門扉には「NTT移動通信中継所」と看板が出ている。 間口がかなり広い。トラックが建設部材を運んぶ道なのだろう。 「ぼちぼち行こか」と野田さんとトモさんが門扉をくぐると、他の人たちもくぐった。 それでなんとなく1人2人連れだって歩く形になった。 道…
カメラの時刻は10時と表示されていた。 今日の山歩きの目的は、登山道の整備、つまり行く手の木や枝をチェンソーやカマ、ナタで打ち払うことなのである。道なき道を行くのであるから、私のような初心者にはある程度の困難が予想された。 南勢テクテク会の…