No.13 尾根の 杉林
再び腰を上げた。いよいよこの北峰から南西方向の有地山本峰を目指す。
私は事務長のあとについて、尾根道を歩いていた。
あたりは杉並木でいつの間にか暗くなっていたが、木立の隙間から射す日の光に、
人の影が浮かび上がっている。地面には湿っぽい空気がまつわりついているようだった。
「この杉林は手入れがいいなぁ」
私は前を行く事務長の背中越しにそう言った。
「そうですな、枝うちも行き届いています」
顔を横に向けた事務長が言った。
私たちは、空を突くようにまっすぐ伸びている杉林の中の一条の路を歩いた。
しかし、行っても行っても高い杉の木が眩い光の中にそびえているばかりで樹木の向こうを見通すことができなかった。
私は事務長のあとについて、尾根道を歩いていた。
あたりは杉並木でいつの間にか暗くなっていたが、木立の隙間から射す日の光に、
人の影が浮かび上がっている。地面には湿っぽい空気がまつわりついているようだった。
「この杉林は手入れがいいなぁ」
私は前を行く事務長の背中越しにそう言った。
「そうですな、枝うちも行き届いています」
顔を横に向けた事務長が言った。
私たちは、空を突くようにまっすぐ伸びている杉林の中の一条の路を歩いた。
しかし、行っても行っても高い杉の木が眩い光の中にそびえているばかりで樹木の向こうを見通すことができなかった。