PCクラブログ

2006年からの日記です。備忘録です。生活に必要な知識、それを実現しょうと試み続けているのが本ブログです。未熟者ですがよろしくお願いします。

前門の虎、後門の狼の中でズルズル足踏みするだけの日本経済

 

国債のイラスト

国債

 

2013年4月、日銀が国債購入の制限をなくしました。国債は、予算が足りない場合、政府が資金調達するために発行する証書です。

 

 

しかし、借りたものは返さなければいけないのが筋です。

税金から返す。増税(消費税)するしかありませんね。国民負担が増えるのに対し、買った側(銀行・投資家)は利息を確実にもらえます。こんなうまい話はありません。

 

ギリシャはこれで財政が破綻したことが記憶に新しいところです。日本でも新元号に浮かれているバカメディアの陰で、国民ひとりあたり1000万円の借金を背負う自覚はありますか?しかも将来世代までのしかかります。その背景や解決策はあるのでしょうか?

 

国債ビジネスと政府債務危機

1.国債とは何?

国債とは国の借金ですよね。将来の租税収入から返済してゆく国の債権です。銀行や投資家には安全確実な投資ですが、われわれ国民はその借金の返済と増税を強いられるわけです。

 

租税制度は社会生活のための財源というより借金返済ではないでしょうか。国債の償還期限は最高60年。これは公共建築物の耐用年数なんですね。60年かけて徴収される税金を先取りして今使ってしまうことなんじゃないでしょうか。

 

償還期限10年の長期国債

2・3・4・5・6年の中期国債

15・20・30・40年の超長期国債

国債の投資家は満期まで持ち続けることはなく売却して現金化します。

 

政府保証の国債ビジネスの構図

大型公共事業により政府が不況を買い取る経済政策です。国債が発行されなくなると大銀行はトリプルパンチをくらいます。

 

国債を買う側は年2回定期的に利子を受け取り、償還期には額面金額を全額償還してくれる金融商品。2%の利率なら毎年2万円の利子を政府から10年間受け取れる。国債が発行されないと1兆円の保有で200億円の収入を失う。

 

②月々発行される国債は「国際市場特別参加者」が引き受け、手数料を3%とる。100億円引き受けたら毎回3億円。ゴールドマンサックス、メリルリンチJPモルガン三菱UFJ,みずほ銀行、野村、大和、岡三証券など。

 

国債が発行されなくなり、売買市場が低迷すると売買益が減る。銀行のディーリングは国際市場の主役であり、銀行の営業利益の20%を稼ぐから。

 

巨大金融市場の出現

2007年度の国債売買高は、1京2323兆円。先物を加えると1京5000兆円。これだけの超巨大市場ではわずかな価格変動で利益を生む投機市場になっている。アメリカは郵貯・年金マネーを狙って日本に参入した。

 

超金融緩和政策と銀行救済・国債大発行

①ゼロ金利、量的金融緩和政策は国債市場をバブル市場に変えた。「デフレからの脱却」を名目に、日本銀行は政府に従属し、政府の失敗を尻ぬぐいする機関になり下がった。

 

②日銀が大量に国債を買い、その金を銀行に払っても、銀行は企業に貸し渋り、リスクのない国債を買う有様。

 

国債発行の政府→民間銀行が買う→それを日銀が買う→代金を民間銀行に支払う。企業・家計に回らない。

 

民営化株式の発行と政府相手の株式ビジネス

NTT,JT,郵貯の株式発行は国庫に新しい収入をもたらす一方、政府の発行する株式として個人投資家の大勢の新規参入を促した。各種の国有財産が売却され31兆円余の莫大な収入をもたらした。NTTの売却は国債償還財源を確保するためだった。

 

政府債務大国ニッポンの世界ランキング

「リアルタイム財政赤字カウンタ」2013年4月、総債務残高は1237兆円余。日本GDPの230%で1位。2位はギリシャ165%。イタリア120%で7位。主要先進国はいずれも経済規模を下回っている。

 

予算の1/4は国債償還に使われてしまい社会保障など国民生活に直結する他の財政支出を圧迫する。さらに将来60年にわたり引き継がれてゆく。

 

第2章 現代資本主義と国際市場

1.始めに

GDPの2倍の国債残高を抱えてしまった。そのため国債元利払い費用を調達するため新たな国債が増発される悪循環に陥り財政危機が深刻化している。他方、国債発行・流通・保有・償還において金融・企業・投資家にビジネスチャンスを提供している。

 

2.金融に支配された現代資本主義

国債は投資家の間で自由に売買できる証券である。金融商品として金融機関の資金運用市場として機能し、利子・売買差益などさまざまな利益をもたらしてきた。企業も国債投資で利子と担保資産として利用してきた。国債を財源とした公共事業は金融・産業双方の利益拡大に役だった。

 

2010年、世界のGDPは62兆ドルだが、金融資産は212兆ドルである。財の輸出入は貿易高に表せるが、財の裏付けのないマネーそのものが利殖先を求めてグローバルに運用され各国の金融商品が売買されている。

 

国債は誰が持っているか

①欧米諸国では30~40%は海外投資家が保有している。アメリカの国債は日本が1兆ドル持っている。外貨保有高の93%である。円高=ドル安は日本の外貨準備高を直撃する。1%の円高でほぼ1兆円の為替差損が発生する。見直す必要がある。

 

②日本国債の海外保有率は9%に過ぎず、殆どが国内の郵貯銀行・民間銀行である。銀行が保有する資産の約20%と高い。「資金調達が安定する、為替の問題が発生しない」など。

窮地に陥ったら、債務償還に日銀が政府に融資する(量的金融緩和・ゼロ金利)、貸し手の側からすれば国内債務を税金に変えてしまう(消費税アップ)。日本人の高い貯蓄率、ゼロ金利のおかげである。

 

債務危機のリスクが家計部門に転嫁される恐れ。ヘッジファンド国債を借りて空売りし暴落を誘発し利益を得ようとする。

銀行の保有割合が増えた理由

不良債権の恐れのある貸出より、あんていして利ざやが稼げるから。

②国際的な自己資本比率が株式や貸し出しはリスク資産にカウントされるが国債はリスクフリーだから。

③日銀は国債の購入量の制限を外してしまった。財政規律の崩壊である。

 

増大する国債売買と銀行の国債投機

メガバンクの業務純益野22%は国債売買差益である。(2012年)

国債の売買取引はそれまでは証券会社だったが銀行が参入できるようになった。金融の自由化・規制緩和政策である。銀行は国債売買においてトップにたった。

 

投機はバクチである。より大きな処理権はただちに市場での優越性を生みだす。市場の方向そのものが、この資本の用いかたによって決められるからだ。銀行はこの事情を利用して投機を一定の方向に駆り立てることができる。

 

銀行は多数の顧客に対し一定の有価証券を売買するように目配せし、これによって銀行は需給関係を予知のごとく推移させるのを常とする。このことは投機の方向の予知がいつでもそうであるように銀行に利得をもたらす。

 

ソブリんリスク(国家に対する信用リスク)を避けるため、相対的に安全とみなされている日本・ドイツ・アメリカの国債に逃れ国債価格が暴騰(利回りは暴落)した。日本の国債の流通利回りは10年もので1%を割り込み国債バブルである。

 

ソブリんリスクを回避するため、消費税を15%に引き上げ、財政赤字を削減し、財政面から国債国債の信認を強力に支えてほしいのが金融機関なのである。そうすれば金融ビジネスは引き続き利益をもたらしてくれるからだ。

 

政府財務危機とリスク転嫁

経済の金融課と金融部門の肥大化→バブル経済の膨張と崩壊→銀行の不良債権の累積と損失の拡大→銀行破たんに伴う決済リスクと金融システム不安の表面化→銀行への公的資金の投入→財政資金調達のための国債増発と財政赤字の深刻化→ソブリんリスクの拡大と政府債務危機

 

まとめ

ギリシャ夕張市

各種公的サービスが真っ先に切られ、財政再建のための大増税が行われた。

年金の支給開始年齢が10才先延ばしされた。従来は50代半ばで現役時代の8割が年金として支給されたが、60代半ばまで延期され支給額も大幅に減額された。公務員の給与も凍結されボーナスは廃止された。公共投資補助金も廃止。

 

他方、付加価値税は19%から23%に引き上げられた。燃料・酒税・たばこ税も引き上げられた。企業への特別課税も実施。

 

夕張市

360億円の赤字解消のために、4年間の措置。

職員半減、給与も60%から30%削減、年収はほぼ40%減。市民税、公共施設、下水道使用料が大幅引き上げ。小中学校が統廃合。教育施設・集会施設・体育施設が廃止され、また子育て支援、ホームぺるぱー派遣事業、高齢者敬老パス、消費生活安定対策費、交通安全対策費などが廃止。

 

第3章 動員される日銀信用と国民の貯蓄

はじめに

GDPの2倍の政府債務を抱えた国は日本だけ。国債売買高が1京円の国債バブルを抱えた国も日本だけ。実は日銀信用に依存したこのような国債管理政策は戦前から行われていた。軍事国債の増発と財政運営は、戦後ハイパーインフレとなって国民生活を直撃した。

 

この教訓の上に財政法は、国債増発による財政資金の調達を禁止した。この禁を破り経済不況をきっかけに66年、戦後最初の国債が発行された。ふたたび日銀信用に依存した国債増発のしくみが回転していった。バブルの膨張と崩壊は日本の経済社会に第混乱をもたらすだろう。

 

膨張する国債市場と国債管理政策の転換

最初の10年間は国債の市中売却は禁止されていた。75年以降はそれが解除された。国債が流動化され、国債流通市場が誕生する。中期、短期、変動利付、超長期国債などに多様化される。公募入札、直接発行、先物取引も導入。国債流通市場のインフラも整備。

 

株式バブルの崩壊後、個人向け国債物価連動国債が発行。累積する国債残高に絶えず価格暴落、金利暴騰のリスクを抱え込む。そのよりどころが日銀である。財務省は日銀による直接引き受けを提案する。買い取り額の上限も撤廃する。

 

物価が2%上昇するまで無制限の金融緩和を実行せよ。安倍と日銀の共同声明。日銀は政府に組み込まれてゆく。

 

日銀信用依存型の国債発行システム

①日銀の政府貸し上げ金供給方式(日清・日露戦争

軍事国債は民間の預金量を上回る。日銀は政府に日歩2銭の金利で、政府は資金繰りを回転していた。国債発行収入金が国庫に流通した時点で、日銀に借入金を返済していった。

②日銀の国債直接引き受け方式(満州事変から)

戦費調達による軍事国債の発行は民間の預金残高を上回る。日銀が直接引き受けることで消化する。大量発行された国債は戦後大インフレとなって経済や国民生活を破壊していった。。

③日銀の買いオペ方式(高度経済成長期)

銀行に割り当てられた国債は100%日銀に引き取られた。日銀法には、景気対策や雇用対策をやらなければならないと明記されていない。政府は自分たちの政策の目的のために日銀を利用してきた。紙幣を乱発すれば紙くず同然となりhyperインフレが発生する。

 

国債の引き受け・オペレーションと日銀

戦後政府は日銀の国債引き受けを禁止した。終戦後爆発的なインフレ(6年間で物価が300倍になった東京)を発生、国民生活を破壊し、社会を大混乱させたからだ。銀行の銀行、通貨の番人が政府の発行する国債を引き受けるようになると、物的財貨の裏付けのないインフレマネーが財政資金として散布されることになるので、インフレが発生し、社会生活が混乱する結果を生む。

 

大1次大戦後のドイツでは1兆倍のインフレだった。乳母車にマルクを積んで買い物に行く、積み木代わりにマルク紙幣の束で遊ぶ子ども)などが想起される。

 

大月書店 国債の話

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