PCクラブログ

2006年からの日記です。備忘録です。生活に必要な知識、それを実現しょうと試み続けているのが本ブログです。未熟者ですがよろしくお願いします。

No.4 無線中継所

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南伊勢町古和浦 10:30)


古和峠からかれこれ30分歩いただろうか。
鉄塔がどんどん大きくなってきた。
「こんなに大きいものはこの辺にはない」と先生は見上げながら感心したように呟いた。
目の前がパァーと明るくなった。頂上だ。
鉄塔は造作も広さも予想以上に大きかった。大空に両翼を広げ飛び立つような形である。


見晴らし台のような場所で先着の人たちが遠くの山並みを眺めていた。
近づくと土台はコンクリートで覆われている。私は首を突き出して外をみた。眼下からは5月の風が漂ってくるばかりで、人影は見えなかった。、
野田さんとトモさんが、目の前の尾根を指差して「あっちはどこそこ、こっちはなになに」と話していた。
私はポケットの地図を広げた。頂上の無線塔を渦巻き状に2まわりする格好の登山道である。
私はもの珍しさもあってあちこちぶらついた。広場はこそとも音がしない。いい陽気である。


雑談していると「どうぞ、どうぞ」の声と同時に、「タイ焼き」が目の前に現れた。
差し入れである。皆、そのタイ焼きを御馳走になってくつろいだ。
先導の2人は口に頬張りながら尾根への入り口を見つけに行った。
トモさんは広場から更に高台に上り眼をこらして前方を見つめている。
遠くの樹木の中から「ここから母ちゃんが見えると思ったけど見えんなぁ」とのろけ混じりの軽口が聞こえた。木の上の葉っぱがザワザワ揺れている。野田さんは木に登っているのだ。

入口がはっきりしないというのは、山登り初心者にとって、何とも心細い限りだが2人は意に介していない様子で、あちこちせわしく動いた。今来た道を戻ったので、私たちもあとに続いた。
「このあたりと違う?」とトモさんが言った。近づいてのぞき込むと何やら人が踏む込んだような跡がある。

すると野田さんは、目の前の桜の木に手を掛けた。よほど木登りに慣れているとみえる。
一本目の枝に足を掛け、更に左手で枝を掴んだ時である。
「ボキッ」っという音と共に背中から真っ逆さまに落ちた。
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