PCクラブログ

2006年からの日記です。備忘録です。生活に必要な知識、それを実現しょうと試み続けているのが本ブログです。未熟者ですがよろしくお願いします。

No.5 南伊勢町森林組合の山道

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                                  (南伊勢町古和浦 10:40)


「危ない!」皆一瞬思った。
樹木の中に野田さんの身体が仰向けに飛んだ。背中から地面に落ちた。「ドサッ」と音がした。
が、反射的に背中を丸めて頭を上げていた。背負っていたリュックがクッションの役目をした。
「大丈夫ですか!」と周りから声が飛んだ。
野田さんは振り向きもせず、膝を起こした時には何事もなかったのように再び木の前に手を掛けて登り始めた。
そして、これ以上登れそうもない先端から声がした。
「道がついてるようや」

私たちは、この道を辿って行くことになった。人ひとり通れるような幅で木が伐採されている。
10分近く歩くと前方が明るい。コンクリートの階段を降りると広い道路にでた。さっき登ってきた道路である。
その道路に出て更にあたりを窺った。それぞれがきょろきょろと道路外側の木々に眼を走らせた。
「あったぞう」誰かが弾んだ声で叫んだ。ようやく入口を探し当てたようだ。


立ち並ぶ樹木の中で1本の木に巻きつけてある赤いテープが見えている。
「ここや、ここや」という声がいかにも確信ありげで、皆、立ち止まって指さす方向をのぞいた。
まさしく登山道の目印のテープだった。

先頭が灌木の中に踏み込んで行った。人が立ち入った形跡がある。この道であることに疑いの余地がなかった。初夏の日射しに新葉が光り、どこまでも雑木が続いていた。前方ではチェンソーの唸る音が聞こえてきた。私は、事務長の後について行った。事務長は行く手を阻む木の枝をナタで払っていく。
邪魔な立木を私もナタで払う。「クロさん、ここにテープを・・・」と事務長が声を掛ける。後ろのクロさんがポケットから赤いビニルテープを取り出し、手慣れた手つきでその枝に巻きつけカマで切る。

両側、前方は藪また藪であったが、なだらかな下り道で歩きやすかった。1キロ近く歩くと徐々に登りになってきた。前方の黒く盛り上がった樹木の間が明るくなった。
「あそこが頂上やな」と後ろからクロさんの声がした。
先着の人たちが一服しているのが見えた。
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