PCクラブログ

2006年からの日記です。備忘録です。生活に必要な知識、それを実現しょうと試み続けているのが本ブログです。未熟者ですがよろしくお願いします。

上の山、八幡さん

 

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2013年の正月2日、朋輩の家に伺おうと思った。
人が一人すれ違えるだけのコンクリートの狭い坂道に足を踏み入れると
爪で掻き切ったような横溝がずっと上まで続いている。
1分程歩いただけで息が切れてきた。
「半年も、運動していないと、こんなにも体力が落ちるのか・・・」

この道は、大雨の日には濁流が押し寄せたものだ。 「カラスの日」には、夜中に上ったものだ。 「弓の日」には、的を射る羽織袴でにぎわったものだ。 T君の家が見えてきた。
ステンレスの大きな郵便箱が銀色に光っている。
戸口の前から、「○○クーン」と呼んでみたが、 答える者もなく静まりかえっている。
「今年の冬は寒い。家の中で炬燵にあたりながらTVでも見てるのかな?」

2回目は、奥まで届きそうな声で呼んでみたが、物音一つしなかった。 どうも、出かけているようだった。

目の上に八幡神社の真新しい鳥居が目に入る。
「ついでに一枚撮っておこう」
私は鳥居の前の広場から、古和湾に目をやると
天神へ向かう山々に陽が射し込み、人家が陰ってゆくところだった。
穏やかな海面が、いかにも古和の正月景色でもあるので
小さなデジカメを構えて、1枚だけ撮った。

坂道を下り、青い陰の町並みを歩く。
人家は陽が陰って暗かったけれど
陽のあたる所よりもかえって、ものの様子が克明に見えた。

正月や 陽の当たりたる 古和の海

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