PCクラブログ

2006年からの日記です。備忘録です。生活に必要な知識、それを実現しょうと試み続けているのが本ブログです。未熟者ですがよろしくお願いします。

古和の祇園祭 No9

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「御船」はゆっくりと港に向かう。
家々では、住人が表へでて出向かう。
腕組みをして神妙な面持ちで迎える漁師。
拍手をしながら出迎える女性や子ども達。
お年よりも若い人も「御船」には特別な思いをもっている。

かって、子どもの頃母親から
「御船は神聖なものやで2階から見下ろすようなことをしたらあかん!」
ときつく言われたことがあった。

わたしはそれでも船の中の様子が知りたくて
家の前を通った頃
黙ってそっと2階の窓から覗こうとした。

たまたまその時は右舷側が側溝に落ち大きく傾いた時だった。
御船が大きく傾きちょうちんや笹が激しく揺れた。
ちょうちんの灯りの中で小太鼓と大太鼓が懸命にバチを振り上げ
右舷側の笛奏者数人が振り落とされまいとしながら懸命に吹いている姿が
垣間見えた。

急いで階下に降りて通りにでた。
血相を変えた見物人で身動きできない中を掻き分け、御船の様子を窺った。
すると、御船はヨロヨロと起き上がり、体制を立て直した。
一斉に拍手が湧いた。

「やっぱり見下ろしてはあかんのや!」と
ゆうことを実感した。
御船はちょうちん飾りの下をくぐり港の広場へでた。
ここは普段は漁業組合の駐車場で
この日だけは屋台がならび古和中の人が集まる。

最後に御船はここで大きく練り歩く。
そのあと岸壁の2艘の船に載せるのである。
これが最も危険なのだ。

岸壁と船の高低差は1m以上ある。
その船へ船首から乗せるわけだが、なんせ船は狭い。
それに船は平らではないから足元がはっきりしない。

しかも重みが船首にもろにかかる。
「担ぎ手」は老練の船頭たちの指示にしたがうのだが
一瞬のことなので緊張する。。。

船首が「どっし~ん」と落ちた。
周りの見物人の顔色が変わる。
が、つづいて少し持ち上がり
船尾がするすると進むのをみて
安堵の声が上がる。

竿灯も乗り込み、
「御船」は祇園ばやしを奏でながら沖の「弁天島」を目指す。
漆黒の闇の中をちょうちんの灯りを波間に映して
太鼓と笛の音も小さくなっていく。

人々は岸壁でそれぞれの思いで眺める。

花火が打ちあがる音がした。
「ド~~~ン」
周りの山々にこだまして海が輝いた。

波の背に 揺られて提灯 遠くなり
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