金髪ボクサーの記憶
12月8日 木 曇り 9:30-11:00
① 800g 4:59'9
② 800g 6:01'5
③ 1r 1:40'1 ベストまであと3秒だったが・・・
④ 800r 4:51'7
12月13日 (火) 晴れ 10:00-11:30
① 1r 1:54'2
② 1r 1:43'4
③ 400g 2:32'9
④ 800g 4:58'2
⑤ 800g 4:57'2
⑥ 800r 4:43'6
小春日和である。
薄着の長そで一枚で丁度いいくらいの暖かさである。
バックネットの裏の樹木の葉や、正面の法面に行儀よく咲きだしたスイセンの花びらも揺らぐ気配をまったく感じない程の無風状態だというのに、走り出しても身体に力が入らない。
11月の体育祭以来、タイムが縮まらない。
休むのはかえって身体によくないのではないか?と思っている。
現に、1回目より2回目の方が少しタイムがよくなっているからだ。
「○○さん、グログ作ったんですよ!」
駐車場の前まで歩いて来た時、不意に声がかかった。
生垣の向こうに、例のボクサー青年がランニング後の着替えをしながら言った。
「風嵐ぱぱ、というブログです!」
「へぇーそうなの! 僕も書いてるよ!」
「マジッすか! 写真撮らせてもらっていいですか? グログに載せるのに?」
「いいよ」
夕方、そのアメーバーブログのブログを探してみた。
12月6日、私の事が書いてあった。
昨年、私が丁度草刈りをしていた時、彼から相談を受けたことがある。
「ケガをして、もうボクシングを辞めようと思うんです」と
いつもとは違う気落ちした顔で声を掛けてきたのを思い出した。
その時わたしは
「人間の感情には感傷と情熱がある。物思いにふけっている時感じるのは感傷、
動いている時感じるのは情熱だ。感傷は美しいが消極的な感情だ。
情熱は積極的な感情だ。人間は動かなければだめだ。死ぬまで走らなければだめだ。
私はそうするつもりだ」
と云うような話をしたとのを思い出した。
記憶というものは不思議なものだ。
私は、そう話しながらも、「彼はもう辞めるのかも知れないなぁ」という風に
考えていた。正直なところ、慰めの言葉でしかないだろうと思っていた。
その後、つい12月の初め、そのボクサー青年が、剪定をしている私を見つけて
駆け寄ってこう言った。
「○○さん、勝ちました! 今度は新人王を狙います!」
そこには少し顔面が腫れ加減ではあったが、1年前とは明らかに違う
日に焼けて野性的な顔をした青年がいた。